2002/10/28(月)


 サーバーのメンテナンス作業のため、夜9時まで接続できず。
 仕方なく5分おきに接続に挑戦し、メンテ終了ダッシュを狙う。

 挑戦しつづけること数十回。接続成功した瞬間はエルバインの鍛冶屋にも関わらず人っ子一人いない状態。これはイケる! 倉庫へ走りEXP+20杖をひっつかみ、道具屋に駆け込んで持てる限りの青ポーションを購入。リコール連打で最南端の出現場所に飛び、インビジしつつミドルランドの骨ピットをめざす。

 すると! 骨ピット貸切状態じゃあ〜りませんか、アナタ。
 一人、誰もいない部屋の中で「ウマー(゚д゚)」と叫びつつEnergy Strike乱射。一発あたり300〜500EXP。かなりウマー。……と思いきや、一人の戦士が。しかも金鎧。ちっ、早いなコイツ……って、アレス人様じゃありませんか、アナタ!

 一瞬、(私にしては珍しく)戦うか否か躊躇した。ふだんの私なら問答無用で魔法を叩き込むところだが、今はちょっと事情が違う。なにしろ周囲はスケルトンだらけで、それはつまり歩く経験値に他ならないのだ。アレス人を殺したって経験値は入らないのである。

 私は神速のタイピングで「peace plz」と打ち込み、戦闘モードを解除した。──が、アレス人は止まらなかった。一直線に突進してきたかと思うと、フランイエーが私に命中。一発、二発、三発。だが、それほどのダメージではなかった。おそらくDEX戦士に違いない。私は平和モードのまま相手に頭を下げ続け、「stop!」「I wanna just lvl」とタイプした。こういうときだけは自分のタイピングが早かったことに感謝する。
 しかし、アレス戦士は無言のままだった。攻撃を止める気配もない。普通のプレイヤーなら頭を下げ続けているキャラを攻撃するのはためらうはずだが、この戦士プレイヤーはかなり好戦的であるようだった。おそらく骨ピットに来たのも経験値稼ぎではなくEK稼ぎが目的だったのだろう。まったくもって、ヘルブレスプレイヤーの鑑のようなヤツである。

 仕方ない。私は戦うことを決意した。「must die」と打ちながら赤ポーション連打。とりあえず逃げだし、少し走ってみる。回線速度やグラフィック周りの性能が悪いプレイヤー相手なら、ただ走るだけでも距離が稼げるのだ。が、このアレス戦士は私のあとにピッタリついたまま離れる様子がなかった。
 これではダメだ。私は前方にエティンを見つけ、その攻撃がギリギリ届かないところをグルリと一周した。攻撃が当たったり、ましてやラグが発生してしまった場合は致命的だが、これぐらいしなければ魔法を詠唱するだけの距離がとれないのだ。
 エティンの周りを一周半すると、わずかばかりの距離が稼げた。魔法詠唱にはギリギリの距離だが、このまま逃げ回っていてもこちらのスタミナが減るばかりなので勝負をかけるしかない。私は立ち止まって相手に正面を向け(重要!)Invisibilityを詠唱した。発動と同時にフランがヒット。
 どうにか透明化に成功した私はほっと一息。──って、おいおい! 攻撃くらってますよ、オレ。こいつ、インビジハッカーかよ!
 インチキ野郎には抵抗するだけ無駄なので、そのままエルバインまでダッシュ。そしてリコール。

 やっぱりアレス人は最悪です。




 2002/10/29(火)


 レベル95になった。

 ついにウィザードマジックスタッフ(MS20)を装備できるぜ、イエー! ……と喜び勇んで買ったものの、やはり効果をあまり実感できなくてガッカリ。本当に防御力+10されてるのかな。まぁいいや。

 で、杖を買ったら金がなくなってしまったので久しぶりに旅行者稼ぎ。軽い武器は結構そろっているので、かなり稼ぎやすい。使用するのはアジルショートソードREP+5とエンシェントライトアックスREP+6。以下に、私のやり方をちょっと書いてみる。

 新規キャラを作る。STR14、DEX14、VIT12、その他10。
 メインキャラから武器2つと斧教本、緑ポット(小)1ダース、現金240Gを渡す。
 ショップへ走り(緑使用)、さらに緑ポット(小)を2ダース購入。
 ビギナーゾーンに戻り、アジルショートソードを使ってスライム狩り。
 最初にDEX25にし、次にSTRを39まで上げる。その後は全てDEXに振る。
 STR39になったらエンシェントライトアックスに持ち替えてバラックへ。
 ダミーを背後から殴る。以上。

 この方法で一時間かからずにレベル19。重要なのはスタミナが切れたらすぐに緑ポットを使うことと、ダミーの背中を瞬間的に見分けること。バラックが混雑している時間帯だったら、ビギナーゾーンでスライムを狩り続けるのもアリ。

 ただ、ビギナーゾーンでエンシェントライトアックスREP+6みたいな武器を使って走り回っていると間違いなくほかのプレイヤーからブーイングを浴びる。まぁ別に気にしないけどな。1時間だけの命のキャラだし。

 そんな具合に2キャラほど作って消したところ、全財産20000Gまで復帰。あと、なぜかストーンオブサクリファイス2個もゲット。ひょっとしてラッキーデー?


 ……と思ってミドルランドの骨ピットに行ったらアレス戦士二人組に殺されますた。
 おおお! オレのライトエス短剣がぁぁ!



 2002/10/30(水)


 倉庫に引きこもって、ひたすら錬金。

 鍋をダブルクリック→スライムジェリーと蟻足と蛇舌をドラッグ&ドロップ→Try now!をクリック→ぐつぐつぐつぐつ(煮込む音)→ボシュゥ(失敗する音)
 エンドレス。

 1時間かけてスキルパーセントが1上がるかどうかというところ。とにかくつらい。材料は売ってないわ、マクロは組めないわ、作るものはひたすら赤ポーションだわ、苦痛以外のなにものでもない仕様。これに比べればウルティマオンラインの錬金など子供の遊びである。このスキル値を100%まで上げた人間の忍耐力というのは、一体どういうことになっているんだろうか。
 まぁ愚痴を言っても仕方ない。一人、職場に持ち込んだ私物のノートパソコンで延々と仕事するフリをしつつ錬金。とにかく錬金。眠気防止のため、BGMにSonata Arctica。……ダメだ、こりゃレイド用BGMだろ。気分を変えてDragonLandに……ってもっとひどいだろ。(わからん話でスミマセン)。

 あまりにもつまらないので、作成した赤ポーションを見知らぬ女戦士のカバンに詰め込んでみたりする。見たところもう1時間以上一歩も動いてないので、間違いなく放置レベル上げの戦士だろう。と思ったのだが、彼女は「who?」と発言したのだった。私はちょっと驚いたが、無視してそのまま手持ちの赤ポーションを次々投げ込んだ。彼女の頭上には「?」と「lol」が連発。しかし、残り3つぐらいのところで彼女のカバンがいっぱいになったのか、入りきらずにポトリと私の足元に落ちる赤ポーション。

「its you!」
 素手でダッシュクリティカルしてくる彼女。なかなか素敵なキャラである。
「hahaha」
「hehehe」
 お互いワケのわからない笑いを交わしたあと、再び錬金作業に戻る私。──と思いきや、何かが私のカバンの中に。
 見ると、完成度80%のショートソード。なんじゃこりゃと思っている間にも、次から次へと放り込まれる完成度80%のショートソード。あぁ、彼女は武器製作の人でしたか。

 結局、30個ばかりの赤ポットが30個のショートソード(未完成品)と交換されたという結果に。……なんか微妙に儲かってる?

 まぁ全部捨てたけどな。



 2002/10/31(木)


 レベル96になった。
 現在のINTは119。
 あと一つでCloud Kill!

 それはともかく本格的に錬金材料が足りない。とくにスライムジェリー。今のところ在庫は200個以上あるが、遅かれ早かれ底が尽きるのは明白である。かといって500個以上ものジェリーを買い取る予算もないので、やむをえずスライムピットへ……。
 Energy Boltを使うメイジやショートソードでスライムを叩く戦士に混じってスライムを虐殺しまくる。非常に効率が悪い。この時間を旅行者稼ぎの時間に回し全体チャットで「Buying Slime jelly for 20G per piece」とでもやった方が良いのではなかろうか。
 そうしようかどうしようかと思っていると、一人の裸メイジが「lvl?」と来た。またかよと思いつつ、96と答える。すると、「greeeeeeeeeeeeeaaaaaaaat!」という答え。いや、そんなに驚かなくてもいいだろ。そして、次に彼はこう言ったのだった。
「gathering jelly?」
「yes」
「alchemy?」
「yes」
 そんなこと聞いてどうすんだと思いながら、淡々と会話を進めていく。
「skill %?」
「30」
「cool」
「thanx」
「my skill % is 45」
「wow」
 同業者かよ、おい。
 私は思わず訊ねてしまった。
「your lvl?」
「90」
「realy?」
「ya」
 そう言って、裸だった彼はローブを着け、キャップをかぶったのであった。そのキャップは、たしかにレベル90以上のメイジしか装備できないアイテムだ。私は、何故だか妙に悲しい気持ちになった。
 その後、北と南に別れて黙々とTriple Energy Boltを撃ちまくるレベル90オーバーメイジ2人──。侘び寂びの世界が、そこにありました。



 2002/11/01(金)


 ロッキーで粘着戦士と遭遇。

 ことの発端は、彼の斬っていたストーンゴーレムを私がEnergy Strikeで倒して(おまけに彼を巻き込んで)しまったことであった。一応自己弁護しておくと、私には彼がそのゴーレムを斬っているのが見えなかったし、3体ほどのゴーレムがその周囲に固まっていたとなれば、これはESを撃たない方がどうかしている。そうだろう?
 だが、当然のことながら戦士の彼にそんな理屈は通じない。物凄い勢いで私のほうに駆け寄ってきたかと思うや、「don't steal」と言いながらフランで斬り付けてきたのであった。まぁさすがにこの場合は私に非があるので「sorry」と謝ることにした。
 すると、彼は「heal」と要求してきたのであった。ふだんなら無視するところだが、そのときの私はマナが満タンに近い状態だったのでとりあえず2回ほどGreat Healをかけてやったのだ。後から考えれば、これが失敗だった。

 私が「bye」と言ってその場を立ち去ろうとすると、彼が呼び止めた。青ポーションでもくれるのかと思ったが、その考えは見事に外れた。彼は「more heal」と言い、続けて「2」と要求したのである。
 ──はぁ!? どう考えたってESのダメージ分以上はHealしてやっただろうが。図に乗るなよ若造。そう思いつつ、私は彼を無視することに決めた。

 だが、彼はしつこかった。「heal」と言いながら私のあとを追ってくるのだ。「no mana」と断っても聞く耳を持たないようである。そのまま3分ほども追い回されただろうか、いいかげん鬱陶しくなって、私は彼に1回だけHealをかけてやった。というか、この時点で彼の体力は自然回復していたものと思うのだが──。
 しかし、彼はまだ引き下がらなかった。次に彼は「sp」と言い、おまけにまた斬りかかってきたのである。もう、ここまで来たら仕方ない。このまま延々つきまとわれるよりマシと判断した私はGreat Staminar Recoveryを彼にかけてやり、おまけにBerserkまでプレゼントしてやったのであった。
 そこで彼はようやく満足したらしく、「ok」とのメッセージが彼の頭上に現れた。──が、次の彼の発言を見て、私はキレた。

「gold plz」

 私は無言で彼から距離をとり、ためらうことなくMass Chill Windを彼の頭上に降らせた。そのままEarth Worm Stikeを2発、さらにMass Chill Windで凍結時間を延長し、Mass PoisonとStaminar drainを撃ち込んだのであった。

 そのあと彼がどうなったのか知らない。すぐにRecallしたので。



 2002/11/02(土)


 私は最低でも週に一度はアレスへ行くことにしている。これはレベル70を越えた辺りから自分自身に課しているノルマであって、欠かしたことは一度もない。
 なぜそんなノルマを決めているのかというと、答えは簡単。ヘルブレスがそういうゲームであるからだ。このゲームでは敵国人を殺すことこそが最終目的であって、それ以外のすべての行為は最終目的を果たすための手段にすぎないのだ。エルバイン人として生まれた者には、アレス人を殺し尽くすことが国民の守るべき絶対の責務として課せられているのである。だから、私は先述のようなノルマを自身に負わせているのだ。
 もちろん、このノルマがつまらないものであれば私はそんなものを守ろうとはしないだろう。(というよりこのゲーム自体をやめるだろう)。だが幸いなことに、このノルマは非常に楽しいものであり、現在の私に与えられた数少ない趣味となっている。
 たとえば敵国のスライムピットで、いかにも昨日このゲームを始めたばかりですといった様子で話し込んでいる数人のアレス人を見つけたとき、彼らの上にMass Chill Windを落としてやるのは痛快だ。ある者は脱兎のごとく逃げだし、またある者は何が起こったのかわからぬまま(恐らくエルバイン人に襲われるのも初めてなのだろう)ぼんやりと立ち尽くす。このとき、どちらを殺してどちらを逃がすか──あるいは両方ともを殺すか。これこそまさに哀れな生贄を前に生殺与奪の自由を満喫できる至楽の時である。
 また、サソリピットで獲物の横取りをしたとかしてないとか、そういうくだらない喧嘩をしている二人にEarth Worm Stikeをプレゼントしてやるのも非常に気持ち良いものだ。その一発で二人が同時に死んだときなど、まさに心躍る瞬間であると言えるだろう。(金目の物を落としたときは完璧だ)。
 またある時は襲撃に失敗し、レベル120オーバーの戦士やメイジに追われることもあるかもしれない。ジャイアントソードによるイエー攻撃やPFMがかかっていない状態でのMeteor Strikeなどを必死のマウスさばきでかわしながら死線ギリギリのところでInvisibilityに成功し、足音をたてないようその場を離れるときの緊張感など、あの名作映画『Uボート』の駆逐艦に追撃され乗員全員が物音ひとつたてずに息を呑むシーンにも劣らない。そうして必死の思いで透明化したまま戦場を離脱しようとしたものの数人のメイジに包囲されてDetect Invisibilityを連発され、国民チャットによって駆けつけた屈強のメイジにBlizzardを撃ち込まれて憤死するのもまた最高だ。
 これほどに楽しいレイドを、一度も体験したことのないメイジは可哀相であるとしか言いようがない。──もっとも、Blizzard2発で死んだうえに杖を落としたようなメイジよりはマシかもしれないが。



 2002/11/03 (日)


 レベル97になった。

 ついにINT122! ということで早速Cloud Killを買ってくる。
 さてコイツをどこで試してやろうか。ミドルランドのオーガピットかガーデンの花か、それともダンジョンのサイクロプスか。──と考えている間にパーティプレイのお誘いが。ロッキーにゴーレムとカエルが湧いているというのだ。私は急ぎ、ロッキーへ向かった。
 青ポーションを補充してロッキーに駆け込むと、たしかに入り口からもうゴーレムであふれている状態。入り乱れて戦う戦士たちにおかまいなくEnergy Strike連射モードに突入。当然セーフモードなど使わない。たまに-70とかいう赤い数字とともに吹っ飛ぶ戦士もいるが、まぁ死ななかっただけ運が良かったな(私が)という考えのもとに淡々とゴーレムを殲滅。
 そのまま奥地まで進撃し、湧きに湧いた骨やゾンビどもを薙ぎ倒してゆく。かなり効率が良い。いつもこれぐらい湧いていればなぁと思いつつ小一時間ほどもロッキーをぐるぐるしていると、まだ一度もCloud Killを使っていなかったことに気付いた。愕然。
 モンスターの数も減ってきたので、パーティを解散して一人で庭へ突入。ここで地形を利用してCloud Killで花かトロルをまとめて殺してウマーというのは良い考えではなかろ……ドカンドカンドカンドカン!

 うおおおおお!

 いきなり出現した十数匹のキャニバルプラントに雷撃の嵐を浴びせられる俺様! あわてて逃げようとするも一歩も動けない俺様! プレートレギンスを落として下半身丸出しで倒れる俺様!

 呆然としていたのは、しかし一瞬だけだった。ヘルブレスにおいて、こんな出来事は日常茶飯事だ。即座に座標を確認し、リスタート。そのまま、取るものもとりあえず(生足を披露したまま)ガーデンまで疾走する。
 だが、庭入り口で私は少しだけためらった。私が死んでからたったの2分ほどしか経過していない。よほどの強者が突入したのでない限り、この中にはまだ大量の花がひしめいているはずだ。そして、最近の庭事情から考えれば強者どころか低レベル戦士の一人さえも足を踏み入れていない可能性だってあるのだ。最悪の場合、庭に一歩入った瞬間殺されるかもしれない。
 そこまで考えた私は、しかしすぐに意を決した。Invisibilityをショートカットに登録し、単身で突撃。画面が切り替わる、ほんの1秒ほどの時間。そして──

 ドカンドカンドカンドカン!
 うおおおおおおおおお!!

 魔法を詠唱する余裕などどこにもなく、私は尻尾をまいてロッキーへ逃げ込んだ。体力ゲージを見ると、わずか一瞬の間に三分の一以下だ。恐ろしい。あやうく、二度目の醜態をさらすところだった。
 さて一体どうしたものかと途方にくれる私。──と、そこへ一人の戦士が声をかけてきた。
「hi」
「hi」
「party?」
「no」
「k」
 ごく短いやりとりを交わすと、その戦士は何も知らずに庭へ入っていこうとするではないか。私は彼を呼び止め、入口付近に花が大量発生していることを告げた。すると、彼はこう言うのだ。
「ok follow me」
 いや、ついてこいったって。アナタ、レベルいくつなんですか? 見たところチェーンメイルなんですけれど……。などと考えているうちに、彼は一人で庭へ入ってしまったのであった。「えぇい、ままよ!」と後を追う私。

 ドカンドカンドカンドカン!
 雷撃の集中砲火を浴びる鎖鎧戦士!
 余裕でInvisibilityをかける俺!
 その直後に届く「ぐぇぇ」という声!

「damn」
 そう言って倒れた戦士の遺品はセイバーだった。透明化に成功した私はその粗末な遺品と自分自身のプレートレギンスを回収し、無事ロッキーへと戻ったのであった。──つーか、ホントにレベルいくつだったんだよアンタ……。


 そんなこんなで結局Cloud Killを使ったのはその数時間後のことでした。
 使ってみた感想。

 まぁまぁ。

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