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 File.98  あなたのハード・ディスクを守るために


 パソコンとは便利なものだが、それでもときどき不便だと思うことがある。どういう点が不便なのかというと、まずひとつに「食べられない」という点が挙げられるだろう。それからふたつめに「食べてもおいしくない」という点も挙げられる。これは冗談だ(食べられないのは冗談ではない)が、パソコンの不便性は今さら私などが言うまでもなく誰もが実体験を通じて知っていることである。

 たとえば、パソコンはすぐに止まる。いわゆるフリーズという現象だ。とくにスペックの低いマシンに対していくつものタスクを同時に与えると、たちまち止まってしまう。このとき「不正な処理が要求されました」とか「不当な要求です」などというメッセージが表示されるのはまだマシなほうで、ひどい場合になると何の断りもなく勝手に止まる。このとき、保存されていなかったデータが失われてしまうことは言うまでもない。
 何時間もかけて作成したファイルが何の断りもなく一瞬のうちにパーにされてしまう腹立たしさは、長年パソコンを使っている者ならば誰でも味わったことがあるだろう。――もっとも、「たった今から保存されていないデータを破棄して停止します」と断ったうえでフリーズしたとしても、腹の立つことに変わりはないが。

 この被害を回避するには、まず頻繁にデータを保存するのが賢いやりかただ。あるプログラマーなどは一分間に一度はデータを保存しているという。そうでなければ怖くて使えないというのだ。これは少々やりすぎだと思うが、それでも十分間に一度ぐらいは保存するのが無難というものであろう。
 もちろん、データをハード・ディスクに保存したところで安心はできない。なぜならば、パソコンのハード・ディスクは簡単にクラッシュしてしまうからだ。
「そんなに簡単にクラッシュしてたまるか」と思った人は、ためしにあなたのパソコンからハード・ディスクを抜き出して10メートルぐらいの高さからアスファルトの上に落としてみるといい。たったそれだけのことで、ディスクは簡単にクラッシュしてしまう。その中に保存されたあなたの大切なファイル群(エロ画像等)は、二度と取り出せない。これを物理的クラッシュという。
 これとは別に、ウイルスなどによってハード・ディスクが破壊されることを論理的クラッシュという。この場合もまた、あなたのエロ画像はパーだ。

 これらのクラッシュからハード・ディスク(エロ画像)を守るために、あなたはまずウイルス・チェッカー及びウイルス駆除ソフトを導入しなければならない。日々進化しつづけるウイルスたちに対抗するためには、つねに最新のワクチン・ソフトが必要だ。それも、一種類だけでは安心できない。最低でも三種類ぐらいのソフトは用意すべきだろう。当然、これらは常時稼動させておかなければならない。ウイルスは、いつどこから入り込んでくるかわからないのだ。
 三種類のワクチンをインストールしたら、次にはシステム・ユーティリティについても検討しなければならない。これによってつねにシステムを監視し、フリーズを未然に防止するのだ。ベンチマーク・ソフトを併用するのも良いだろう。かくして、あなたのパソコンのタスク・トレイはウイルス対策ソフトとシステム保全ソフトのアイコンで埋め尽くされる。

 だが、ここまでやったところであなたは気付くだろう。突然の停電に襲われればすべてが徒労に帰すという事実に。殊にハード・ディスクにアクセス中の停電は致命的だ。この場合、かなりの確率でハード・ディスクはオシャカである。そこであなたは無停電電源(いわゆる非常用電源)を導入しなければならない。まともに買うとハード・ディスクより高い買い物になるが、やむをない選択と言えよう。
 また、ハード・ディスクは熱や湿気に弱い。どれぐらい弱いかというと、沸騰した湯をかけただけで壊れてしまうぐらいだ。したがって、夏場は冷房が必須である。できれば最高出力で運転させることが望ましい。無停電電源を持っているあなたにとって、もはや停電は怖くないはずだ。ついでに除湿機も備えておくと良いだろう。

 パソコンの不便性は、フリーズやクラッシュといった問題だけではない。プラットフォームの不統一という問題もまた大問題だ。一般的なところでは、WINDOWSとMac OSの非互換が有名であろう。「ファイナルファンタジー[はクソゲーだ」などという表記をしようものなら、たちまちその問題は露呈する。発言自体はまったく問題ないが。
 これを防ぐため、あなたは自分のWINDOWSマシンにMacのエミュレーターをインストールしなければならない。Macユーザーならば、その逆だ。これと同様に、PC-9801用のソフトを使うためにはPC-98のエミュを、X-68000のソフトを使うためにはそのエミュを入れなければならないのだ。
 プラットフォームだけでなく、アプリケーションの非互換性もまた問題である。あなたがインターネットを利用できる環境にあるならば最低でもInternet explorerとNetscape navigatorが必要になるし、それぞれに対応したメーラーも不可欠だ。意中の彼女にモモちゃんを送りたければポストペットをインストールしなければならないし、ICQも必要だろう。BGMがほしければ、MIDIやMP3のプレイヤーも欠かせない。ファイルのダウン・ロードがしたければIriaやRegetを使うのが普通だ。wwwcなどの巡回ソフトも便利だろう。これらはすべてタスク・トレイに格納される。
 あなたのパソコンのタスク・トレイには、したがって無数のアンチ・ウイルス・ソフト、システム・ユーティリティ、エミュレーター、それにブラウザとメーラー、音楽ファイル再生ソフトにICQのアイコンが並ぶことになる。これら以外にもタスク・スケジューラー、ボリューム・コントローラー、日本語入力ソフト、Shock waveコントローラー、Quick time……と数えきれないほどのアイコンが立ち並べられるという大変な状況になる。――かくして、あなたのパソコンはフリーズするのである。

 これを緩和しようとハード・ディスクの増設を考えたあなたは賢明だ。念のために老婆心から忠告させてもらうと、ハード・ディスクは20センチの高さから落としてもクラッシュするようだ。落下点はアスファルトでなく畳でも十分らしい。
 どうしてそんな簡単に壊れるんだよ馬鹿野郎。



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