或るゲェムについての攻略の記(あるいは団子の道)


 最近、すっかりゲームをやらなくなった。いや嘘だが。ゲームに費やす時間が減ったのは事実である。とはいえ、やはり面白いゲームに出会うと朝から晩までそればかりという生活になるのが必然であって、そんな生活を10年も続けている自分はちょっとどうかと思うが、どうにもならないのもまた事実である。生まれてきてスミマセン。
 そんな私のもとへ、先日ひとりの友人が新作ゲームを持って訪れた。「ぜひコレをやってみろ」と渡されたCD‐Rのラベルにはアルファベットで『The Perfect Ninja Soul』と刻まれていた。
 見たことも聞いたこともないタイトルだったが、そのタイトルだけで「こいつはヤバい」と直感した。なにしろニンジャソウルである。しかもパーフェクトなのだ。これがマトモなゲームであろうはずがない。さらに訊ねてみれば、そのゲームはアメリカ製の同人ソフトだという。ヤバいどころの騒ぎではない。だいたいにして、海外製のゲームにはイカれたセンスのものが多い。とくにニンジャとかサムライなどという名詞がタイトルに含まれるゲームは危険だ。同人ソフトともなれば、まさに馬鹿と無法の渦巻くデンジャラスゾーンである。
 友人は言った。「これをクリアできたら偉い」と。ならば、受けて立たねばならなかった。なにしろクリアすれば偉いのだ。私のニンジャソウルは燃え上がった。
 ゲームを開始して5分で、私は『The perfect ninja soul』がただならぬゲームであることを悟っていた。――そう、『パーニンソウル』は私の予想をはるかに上回って、とんでもないゲームだったのだ。
 以下、ゲームのプロローグを説明する。なにしろ全文英語なので今ひとつ正確な意味を把握できない部分もあるのだが、だいたい間違ってはいないと思う。もっとも、そんな些細な間違いはどうでもいいぐらいブッとんだ話なので、気にもならないが。


 主人公であるジロウマル・ウンリューは、世界的にも優秀なジャパニーズ・ビジネスマンとして名を轟かせていた。それまでトーキョーを主戦場としていた彼は、ある日突然ニューヨークへの転属命令を受ける。ところがニューヨークへ移った矢先、彼は最愛の妻ともども列車事故に巻き込まれてしまうのだった。
 ジロウマルを除き、乗客は全員死亡。ジロウマル自身も一度はLand of shigoの扉を開けたが、それと同時に彼はマインドの奥底に眠るニンジャ・ソウルをよみがえらせ、奇跡的な復活を果たしたのだ。なんと、彼はあのハットリ・ファミリーの末裔だったのである。死の淵から生還するとともに先祖代々受け継がれてきたニンジャ・ソウルを手にしたジロウマルは、この不自然な列車事故の真相究明に乗り出した。
 やがて浮かび上がる、事件の真相。それは、ニンジャ・ソウルをこの世界から根絶やしにしようと画策するダーク・ニンジャ・ユニオンの邪悪な計画であった。
 今、復讐の炎とともに孤独なニンジャの戦いが始まる。


 ――と、そんな具合である。こう言っては何だが、かなり頭の悪いゲームだ。頭が悪いというのは語弊があるので、プレイヤーをなめているゲームだと言っておくことにしよう。いまどき、こんな設定は小学生向けのアニメでも使わない。
 だが、じつを言うと私は頭の悪いゲームはわりと嫌いではない。おまけに、忍者という言葉は潜在的に男心をくすぐるものである。私は改めて自分の中にもニンジャ・ソウルが燃えていることを自覚した。
 さて肝心のゲームのほうはというと、これがなかなか良くできている。3D視点のフリースクロールアクションで、要するに『バイオハザード』みたいなものだ。もっと簡潔に言うと、『天誅』のパクリである。というか、そのまんまだ。主人公の武器も、カタナ、シュリケン、クサリガマと、まるきり同じである。しっかりとドクダンゴも登場するあたり、かなりタチが悪いとも言える。しかもオリジナルより強化されたドクダンゴは、もはや手のつけようがないほど凶悪だ。なにしろボスキャラにも通じてしまうのだからひどい。初めてステージ1のボスに使ってみたときには目を疑った。
 『天誅』を知らない人のために説明すると、毒団子というのは主人公が携行する忍び道具(!)のひとつで、これを食べた者はしばらくのあいだ体がしびれて動けなくなるという、一見よくわからないアイテムである。要所にセットし、うかつにも口にした敵キャラを無抵抗のまま斬り殺すという具合に使う。かなり卑劣なアイテムである。しかも敵は馬鹿なので、目の前に置かれた毒団子でも平気で食べたりする。さすがに戦闘モードに入っているときは食べないが、『The perfect ninja soul』では戦闘中だろうが何だろうが問答無用で食べるので、相当に凶悪である。どれぐらい凶悪かというと、ほとんど全てのボスキャラを毒団子ひとつで無力化できるほどだ。バランスも何もあったものではない。同人ゲーム(しかもアメリカ製)に、そんなものを望むのが愚かというものだが。
 ジロウマルの携行する武器はこの毒団子以外にもいくつか存在するが、はっきり言ってそれらが活躍する場面はない。殺傷ゲージを溜めることで発動できるスペシャル・スキル(nin-jutsu)にもいくつか種類があるので、ざっと紹介してみよう。

アイテム(tools of shinobi)
マキビシこれを踏んだ敵は一定時間動きが遅くなる。一見便利そうだが床に置かれたマキビシは見えないので、だいたい自分で踏むことになる。要するにゴミである。
爆薬敵に投げつけて使用する。命中すれば強力だが、至近距離では自分も巻き込まれるので要注意だ。なぜか床に置くだけでも爆発するので、うかつに持ち歩かないほうが良いかもしれない。これまた、まごうかたなきゴミである。
巻物これを読み上げると、カマイタチが発生して周囲の敵全体に中程度のダメージを与える。読み上げるのに3秒ほどかかるので、その間に殺されないよう頑張れ。
赤マムシ体力回復アイテム。このゲームにしては珍しく普通に使えるアイテムだ。ただし、全5面を通して一箇所でしか手に入らない。このゲームの作者の考えが知りたい。
毒団子このゲームの根幹を成すといっても過言ではない、強力無比の最終兵器。その恐るべき性能たるや他に比肩するものはなく、これひとつで全ての敵を葬り去ることさえ可能である。ただのダンゴなのにな。
スペシャル・スキル(nin-jutsu)
火遁口から火を吐く。射程距離、持続時間、攻撃力、どれをとっても最高の術である。どう見ても人間技ではない。
水遁一定時間、水中に入ってもダメージを受けなくなる。それは良いのだが、ゲーム中で水の中に入る必要がないので、この術の存在意義がわからない。
分身ジロウマルと同じ映像の影が3つ出現する。影はジロウマルの動きをトレースするが、攻撃力は持っていない。おまけに敵の攻撃は必ずジロウマル本体を狙ってくるので、めくらましにさえならない。これまた何のために存在するのか理解しがたい。
忍犬どこからともなく犬を召還し、敵にけしかける。……はずなのだが、なぜかこの犬は目の前の敵を無視して画面外へ走り去ったり足場を踏み外して墜落したりするので、どうにも使えない。
風林火山最終面だけで使うことができる最強の忍術。その効果はジロウマルの攻撃力とスピードをいきなり3倍にするという強烈なもので、そのあまりの強烈さゆえにとてもではないが制御しきれない。自分の投げたシュリケンを追い越して後頭部に直撃するという事態に至っては、言葉もない。

 結局のところ、使うのは毒団子と火遁の術だけである。この事実を理解すると、『パーニンソウル』は比較的かんたんなゲームになる。事実、私は3日間で全5ステージ中4ステージまでをクリアするにいたった。――が、問題はそこからだった。
 ここからは攻略形式で『パーニンソウル』を紹介していきたいと思う。この先はもはや誰も理解できない世界だが、気にせず続けよう。ひょっとすると、これを読んでいる人の中には私と同じように苦しんでいる人がいるかもしれない。その一助となれば幸いである。



STAGE 1 立ちあがる忍者〜The ninja's rising

 最愛の妻を奪った忌まわしい列車事故がダーク・ニンジャ・ユニオンなる秘密組織によるものであることをつきとめたジロウマル・ウンリューは先祖伝来のシノビガタナSword of Muramasaを手にユニオン本部ビルへと乗りこむ。だが、すでに彼の動きはユニオンに察知されていた。
 ダーク・ソウルに蝕まれたニンジャたちの襲撃! そしてユニオンのトーリョーであるニンジャ・マスター、ジュナイエ・ザンとの戦い!

 まず、開始したらすぐに装備をカタナからシュリケンに変更しよう。正面にユニオン本部ビルが建っているが、まちがってもダッシュで突入したりしてはいけない。歩いてドアを開くのも厳禁だ。どちらの場合もダーク・ゲニン2人の攻撃を頭上から受けて、体力が半分以上なくなる。まぁ、やればわかることだが。普通のプレイヤーは、まずここで必ず一回死ぬと思われる。同人ゲームらしい、じつに容赦ない攻撃だ。全面を通しても、これほど悪辣な攻撃は他にない。
 したがって、とりあえず待つ。スタート地点から3歩ほどビルに近付いて数秒待つとゲニンが2人つっこんでくるので、近付かれないうちにシュリケンを連発して倒す。このゲームでは基本的に接近戦を挑んだ方がステージクリアボーナスが増えるのだが、ハッキリ言ってジロウマルはかなり弱い(耐久力がない)ので絶対に勝てるとき以外はカタナを使わないほうが良い。絶対勝てるときというのは、毒団子を食わせたときのことである。スタート直後、ジロウマルは毒団子を持っていないので、しばらくはシュリケンだけで戦うことになる。だいたい、ザコの通常攻撃をくらっただけで体力が3割以上もなくなるのだから、まともに斬り合う気にもならない。この戦闘バランスの悪さは、ちょっとどうかしている。まぁ、このゲームのすべてがどうかしているのだが。
 ビルに突入したら、まっすぐエレベーターへ向かう。途中でゲニンが何回か襲ってくるが、逃げながらシュリケンを投げまくれば問題ないだろう。このゲームに登場するザコ敵は基本的に飛び道具を持っていないので、近付きさえしなければダメージをくらわない。我ながらこんな卑怯な攻略で良いのかと思うが、しかたがない。シュリケンが強すぎるのだ。いや、カタナが弱すぎるのだ。
 エレベーターは9階で強制停止させられるので、ここで降りる。このあとは20階まで階段を利用する。ボスとの戦闘までに問題となる場面はない。15階東端の毒団子*3は忘れずに回収すること。17階には体力回復のotsukemonoがあるので、ここまでにダメージを受けているなら取りに行っても良い。道中は何があっても接近戦をしないこと。

 ボス ジュナイエ・ザン&ブレードマスター・リューホウ

 ザンの部屋へ乗り込むと彼は長々と口上を述べ始めるので、その間に足場を確保しておく。まぁ、どこでも良いのだが、とりあえずドアの周囲は危険だ。ソファとヨロイカブトの間あたりに立つと良い。
 よく意味のわからない(私の英語能力が貧弱なせいかもしれないが一概にそうとも言いきれない)長ったらしい講釈を終えると、ザンは両手にカタナを持って襲いかかってくる。すかさず、ドクダンゴを足元に置け。ザンはものすごい勢いでそれを食べるので、しびれているところをカタナで斬りまくる。
 するとザンは「なかなかやるな」というようなことを(多分)言って部下であるリューホウを呼び出す。このときドアの近くにいると、登場したリューホウにドアごと斬り殺されるので要注意。
「我が剣の切れ味、とくと味わうが良い」というセリフのとおり、リューホウは居合斬りの達人だ。彼の剣撃を味わうと2秒で死ねるので、まともにやりあってはいけない。当然、ここもドクダンゴを使う。ザン同様にしびれているところを斬るわけだが、あまり欲張らず3ヒット*2程度におさえておこう。これは基本コンボなので、今後も頻繁に使うことになる。
 リューホウの体力を半分ほど減らすと、ザンはKite of Shinobiを使って逃げる。これは不可避イベントなので、今は目の前のリューホウを倒すことに集中しよう。ドクダンゴはひとつ残っているが、ここは温存することを勧める。といってカタナで戦っては勝ち目がないので、やはりシュリケンで戦う。室内では距離がとれないので、廊下へ逃げると良い。リューホウがダッシュしてこない程度の距離をおきながら、じりじりとさがりつつシュリケンを撃ち込む。体力ゲージが20%を切ったら、カトンの術を発動。これで勝てるはずだが、もしどうしても勝てない場合はドクダンゴを使うように。あとで苦労するのはあなただ。
 ちなみにドクダンゴを使う場合はザンが脱出したバルコニーの外に向かって投げると良い。リューホウはドクダンゴを食べようとしてビルから墜落死するので、非常にラクだ。もちろん、しびれて動けない敵を斬り刻むのが好きだという人にはお勧めしない。


STAGE 2 謎の芸者〜A mystical geisha

 ジロウマル・ウンリューのニンジャ・ソウルによってユニオンは壊滅されたかに見えたが、それもまたジュナイエ・ザンの計算のうちだった。彼の目的はこの地上からすべてのニンジャを抹殺することであり、自身が世界でただ一人のニンジャとして君臨することだったのだ。彼にとってユニオンもまた捨て駒に過ぎなかったのである。
 自らのニンジャ・ソウルを高めるために決死のハラキリ・リチュアルをおこなうジュナイエ・ザン。それを阻止すべく、夜の摩天楼をジロウマルが駆ける! だが、彼の前に現れたのは恐ろしきozashiki-geiの術を操る謎のスーパー・ゲイシャだった!

 このステージにおいて最大のライバルとなるのはボスのクノイチでもなく、ザコのゲニンでもない。ビルである。クリントンではない(ゲイツでもない)。ステージ全体を構成する摩天楼のビル群が、とにもかくにも強敵なのである。なにしろこのゲームではオブジェクトの当たり判定が非常にいいかげんというか分かりにくいため、ちょっと気を抜くとすぐに墜落死してしまうのだ。
 このステージではその構成上、必然的にビルからビルの間をクサリガマで綱渡りしてゆくことになるのだが、これがもう落ちまくるのである。私の感覚では、ビルの屋上から足の親指を出しただけで墜落する。どうやればその体勢から落ちられるのだと思うような状態からでもジロウマルは平気で墜落するので、とにかく注意が必要だ。
 といって、具体的にどうすれば良いのかというとコレが実にどうしようもないので、とりあえず可能なかぎり足元に注意を払うほかない。とにかくビルのふちには立たないことだ。中には墜落ギリギリの場所まで距離を詰めなければクサリガマが届かない場面もありドット単位での見切りが要求されるが、ここは慣れるしかない。解像度の低いモニターではキツいだろう。運まかせでクサリガマを投げて届けばラッキー、というやりかたでも良い。それまでに100回ぐらい死ぬと思うが、根性でがんばれ。(なげやり)
 随所で出現するザコ忍者はシュリケンで撃墜していけば問題ないだろう。このステージでは毒団子を2つ入手できる。少々取りにくい位置にあるが、命にかえても取るように。

ボス ジュナイエ・ザン&名無しの超芸者

 ザンとの再戦である。始まった瞬間から毒団子を使えばノーダメージで倒せるだろう。問題はゲイシャのほうである。なにしろコイツは決して自分から近付いてこないのだ。しかもクサリガマも何も使わずにビルの屋上から屋上へと渡り移るので、手に負えない。投げつけてくるセンスは飛距離が無限であるうえホーミング性能を持っているから、避けるだけでも一苦労である。ここで挫折するプレイヤーも多いだろう。この扇子攻撃のどこがozashiki-geiなのかとも思うが、そんなことを考えているヒマはない。
 ここではまず、ゲイシャと同じビルに立つことを考えなければならない。シュリケンでゲイシャのセンス攻撃に立ち向かうのは無謀だ。自動追尾してくるセンスを完全に避けきれるプレイヤーならシュリケンで倒すことも可能かもしれないが、少なくとも私にはできない。そもそも、このセンスは避けられるように作られているのかどうかも怪しい。
 さてゲイシャをつかまえる方法だが、まず彼女の動きを理解する必要がある。基本的にゲイシャは左手方向(こちらから見て右)へ移動するので、それを先読みして彼女が次に立つビルを想定し、先回りするのだ。もちろん、言うほど簡単なことではない。ジロウマルがビルをひとつ移動する間にゲイシャは5〜6個のビルを移動するので、ちょっとでもタイミングが狂うと終わりである。このタイミングの取りかたは、慣れるしかない。
 うまくゲイシャと同じビルに立つことができれば、あとは毒団子を食わせるだけである。かなり素早く行動しないとゲイシャはすぐに隣のビルへ移ってしまうので、アイテムの選択には慣れておいたほうが良いだろう。団子を食わせたあとは、3*2ヒットを与えてカトンの術を使えばOK。
 それでも、どうやっても勝てないという人は、ゲイシャが登場した瞬間にマキモノを使うと良い。初弾のセンスを打ち消すと同時に、なぜかゲイシャはこれ以降センスを撃ってこなくなるので、あとは煮るなり焼くなり好きなように。ここだけが、マキモノを効果的に使える唯一の場所である。ゲイシャを倒すとジュナイエ・ザンが現れ、ストーリーが進む。
 余談だが、ビルの端でゲイシャを倒すとステージクリアの決めポーズをとった途端にジロウマルは墜落するので、注意するように。(しかもよく落ちるんだコレが)。なにもこんなところまで『天誅』をパクらなくても良かろうに。


STAGE 3 恐怖の十字手裏剣〜Dreadful huge cross

 ハラキリ・リチュアルに成功したジュナイエ・ザンはジロウマルを一蹴し、ジャパンへと向かう。彼の目的はテンノー・ザ・ジャパニーズ・エンペラーを倒し、three kind of jingiを手に入れることだった。3つの神器が真のニンジャ・ソウルを持つ者の手に握られたとき、世界を支配する力が与えられるのだ。
 ザンを追ってジャパンをめざすジロウマル・ウンリュー。空港に立ちふさがる第三の刺客は巨大な十字手裏剣を背負った最強のダーク・ニンジャ! 大型旅客機をも両断する恐怖の十字手裏剣がジロウマルを襲う!

 このステージから、ザコとしてニンケン(忍犬)が登場するようになる。対処法はゲニンと同様でかまわないが、背が低いので手裏剣が当たりにくくなっている。まぁ適当に連射していれば大体は噛みつかれる前に倒せるので問題はない。飛びかかってくる瞬間を狙ってカタナで斬り伏せるのが美しい倒しかたなのだが、どこにもギャラリーはいないのでそんなことをする意味はあまりない。自己陶酔したい人は、せいぜいカタナで戦ってくれ。
 ところで私にはこの忍犬(と称している生き物)が熊にしか見えないのだが、あなたはどうか。周囲のプレイヤー(約2名)に意見を募ってみたところ、『オレには猫に見える』『いやウォンバットだろう』という意見が多数を占めた。忍ウォンバットというのは、なかなか新しい感覚だと思う。

ボス ジューモンジ

 自称『アルティメット・ニンジャ』であるジューモンジは究極の名のとおり、とてつもなく強い。ステージ2のボスであるゲイシャは適当に戦っていても運が良ければ倒せるが、こいつはそうはいかない。個人的には『戦いの挽歌』の剣王(しかも2周め)に匹敵すると思われる。その強い原因を挙げてみよう。

1 攻撃が速い。
  とにかく速い。特に接近戦での十字架による斬撃は見えない。(速すぎて)
  遠距離攻撃の巨大十字手裏剣も飛行速度が速く、回避は困難である。
2 攻撃力が高い。
  十字手裏剣なら3発、十字架なら2発(0.3秒)で死亡。
3 防御力が高い。
  カタナによる3段コンボを決めても、体力ゲージの5%程度しか減らせない。
  シュリケンでの攻撃がまったく効かない。
4 移動速度が速い。
  しかも近付いてこない。(これが一番の問題である)

 これだけを見ると、かなり絶望的である。最初のうちはジューモンジをジロウマルの攻撃範囲に捕らえることすら不可能だろう。このゲームを制作した連中は本当にテストプレイをしたのかと思う。唯一の救いは毒団子が通用することぐらいだ。とはいえ、毒団子を食わせてもジューモンジの防御力の高さゆえに、簡単には倒せない。『毒団子→カタナで3*2ヒット→カトンの術』という黄金パターンを使っても、ジューモンジの体力は10%も減らないのである。これは悪夢だ。まぁそれでも頑張ればどうにかなるので、とりあえず攻略してゆこう。

 最も重要にして困難なのが、十字手裏剣の避けかたである。これを避けられないとジューモンジを倒すのはおろか近付くことさえできないので、必ずマスターする必要がある。
 正面から飛んでくる手裏剣に対しては、基本的に十分ひきつけておいてジャンプすれば大丈夫だ。多少角度がついていても大抵は避けられるはずである。問題は高度の高いものと真横から飛んでくるもので、両方ともジャンプでは避けられない。基本方針としては高度の高いものに対しては引きつけておいて左右へダッシュ、真横からのものに対しては前方へダッシュなのだが、ひきつけ具合が足りないと避けきれない。というのも、この十字手裏剣がホーミング能力を備えているためである。どれぐらいひきつければ良いかは体で覚えるしかない。真横からの手裏剣は距離感を把握できないためかなりキツイが、根性を見せればどうにかなる。(こればっかりだ)。運悪く十字手裏剣が2発以上かさなってきた場合には、どうやっても避けられないので潔くやりなおすことをお勧めする。
 さて、運良くジューモンジに近付けたとしよう。何はともあれ毒団子を食わせないことには話にならない。毒団子は一個たりともムダにできないので、確実に食わせることができる距離まで接近してから投げるようにしたい。
 首尾良く毒団子を食わせたら、何はともあれ『3*2ヒット→カトン』を当てる。そのまま距離をつめて、ふたたび毒団子。以後、毒団子が尽きるまで『団子→3*2ヒット→団子』を繰り返す。欲張って一回でも多く攻撃すると、0.3秒で後悔することになる。この時点で毒団子はムダ使いしていなければ6個持っているので、惜しまず全部使ってしまおう。これでジューモンジの体力は70%以上減らせる。そのころにはカトンが使えるだけのゲージが溜まっているはずなので、これも使ってしまおう。だいたい、ジューモンジの体力は残り20%程度になるだろう。
 この20%の体力をどのようにして奪うかが問題である。一言で言って、運しかない。クリティカルヒットが出るのを狙って攻撃ボタンを連打するのも良し、見えない攻撃を避けながら一撃ずつ丁寧に攻撃するのも良し、である。いずれにせよ、気合と根性で何とかするしかない。あなた自身の忍者ソウルが問われる場面だ。


STAGE 4 不滅の武士道〜Bushi-doh never die

 からくも刺客を倒しトーキョーへと向かったジロウマル。だが、ジュナイエ・ザンの力を知った彼は自分に勝ち目がないことを悟っていた。ブシドーとは死ぬことと見つけたり。苦悩するニンジャの心。彼はニンジャ・ソウルを磨くためキョートのショーリンジでブシドー・プラクティスを積むことを決意した。
 コーガモノの末裔でありサドーのイエモトでもある老師イカズチ・センドサイの教え。それはフーリンカザンの真髄だった。厳しい修行の果て、ついにジロウマルは真のニンジャ・ソウルを手に入れる。しかし、新たな刺客の罠によってセンドサイは命を落とし、ジロウマルもまた窮地に陥るのであった。復讐の炎に燃えるトゥルー・ニンジャ。今、フーリンカザンの教えが爆発する!

 このステージではジロウマルのニンジャ・ソウルを高めるためのプラクティス(修行)がメインである。中には茶道や禅、生け花など、どこが忍者の修行なのかと思うものもある。そもそも京都の少林寺というのは、一体どこにあるのだろうか。全編これツッコミどころといった感じの『パーニンソウル』だが、このステージは特にひどい。いったい風林火山の教えとは何なのか。気になって夜も眠れない。
 修行の内容はどれもこれも連射でオーケーなので、特に攻略すべき点はないだろう。空手も茶道も禅も全て連射というのは、ちょっと日本人には考えつかない発想である。茶道プラクティスでの『Spin! show your ninja soul!(回せ! 己の忍者魂を見せるのだ!)』という一文に、あなたはめまいを覚えるに違いない。

ボス バンザイマスター・ザ・サムライ

 なにやら物凄い名前のボスキャラだが、その外見は名前よりも凄い。上半身は裸、下半身には袴、頭には日の丸入りの鉢巻、手には日本刀とショットガン。まるきり、ひとり八つ墓村状態である。この姿でもって、サムライ氏は『バンザイ!』と叫びながら突進してくる。これだけインパクトのあるキャラには、めったにお目にかかれるものではない。こいつが真のサムライであることは疑うよしもないが、なぜ老師はこんなヤツに殺されたのかと考えると興味が尽きない。
 攻略に関しては特に記すところもなく毒団子を置けばそれだけで終わりなのだが、一度ぐらいはこのサムライ氏と正面から戦ってみることをお勧めする。『カミカゼ!』と絶叫しながらショットガンを乱射したり『スキヤキ!』とわめきながらカタナを振りまわすさまは、涙なしでは見られない。中でも凄いのが『ハラキリ!』のボイスと同時に自らの腹をかっさばくという攻撃で、シャワーのように噴き出す血液がジロウマルにダメージを与える。食らうと結構なダメージなので、一応笑いごとではない。しかし『ハラキリ!』の声で日本刀を腹に突き立てるのは良いとしてもショットガンまで同時に腹へ突っ込むのは、ちょっと無理があるように思うのだが、どうか。しかも銃身が背中まで貫通してるし。
 ひととおり彼の行動パターンを楽しんだあとは毒団子を食わせて以下略。『ブシドーバンザイ!』の絶叫とともに全身から血を噴いて倒れるサムライ氏の姿は壮絶である。つーか、おまえは本当に武士なのか。
 どうでもいいことだがこいつの持っているカタナには立派な銘があって、その名も「カローシ」だそうな。ふざけているのか本気なのか、判別しかねる。


STAGE 5 江戸城炎上〜The battle on burning castle of Tokyo

 ついにthree kind of jingiを手に入れたニンジャマスター、ジュナイエ・ザン。彼はテンノー・ザ・ジャパニーズ・エンペラーを殺害し、その比類なきニンジャ・ソウルをもって天下を手に入れたのである。いまや、ザンを打ち倒すことができるのは我らがジロウマル・ウンリューただ一人。
 再び襲いくる謎の超芸者! 明らかになる衝撃の真実とともに、江戸城は紅蓮の炎に包まれる! 走れ、トゥルー・ニンジャよ! ジュナイエ・ザンの野望を打ち砕くのだ!

 ここまで来た人には、中ボス(超芸者)までの道のりで特に問題となる場面はないだろう。なにやらゲー○ストの攻略みたいで気が引けるが、実際どこにも危険な要素がないので仕方ない。
 その芸者だが、2面登場時とは比較にならないほど弱くなっている。やってくることは何も変わってないので、足場がしっかりしているうえに逃げ場がないぶん、こちらが有利になっているのだ。普通に近付いて普通に毒団子を置き、普通に斬り殺せばオーケーである。芸者を倒すと、彼女の正体が明らかになる。(以下ネタバレにつき伏せ字)
なんと彼女は列車事故で死んだはずのジロウマルの妻だったのである。彼女はジュナイエ・ザンによって記憶と人格を改造され、完全なる芸者として作りかえられていたのであった。(今さらながらムチャクチャな話である)

ボス ジュナイエ・ザン

 芸者が一連の説明を終えて息絶えると、間髪を置かずに宿敵ジュナイエ・ザンが登場する。Sword of Kusanagiを手にしたザンの強さはハンパなものではなく、あのジューモンジをも凌駕するほどである。しかも恐ろしいことに彼は決して毒団子を食べないのだ! これは、このゲームの設計思想を根本からくつがえす事実である。毒団子さえ食べさせればオーケーという攻略は、このラスボスに限って通用しないのだ。
 それがどういうことかというと、すなわちこのゲームがクリア不可能であることを意味する。いやマジで。
 現在、私はこのボスに毒団子を食わせる方法を模索中である。何としても、なしとげてみせよう。己の忍者魂にかけて。

 Feel the force! You become a true ninja!



……つーか絶対ぇクリアできねぇよコレ。




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